国税庁からH29.10.5 現行の「広大地評価」通達に代わり、平成30年から適用される「地積規模の大きな宅の評価」に係る改正「財産評価通達」が発表されました。改正に伴い、現行の「広大地評価」通達は、廃止されることになりました。
現行の「広大地評価」通達は、減額幅が最大65%にもなり相続税申告代理を受けた税理士としては是非とも適用を受けたいところです。
しかし、二つの大きな問題がありました。
一つは、そもそも広大地に該当するか否かの判断が難しいことにありました。戸建分譲開発を前提に潰れ地が生じなければ広大地に該当しませんでしたのでマンション適地か、路地状開発が可能かなど不動産鑑定士等の専門家に意見を求めるケースが多くありました。
新制度は、摘要要件を満たせば「地積規模の大きな宅地の評価」を適用することが出来るようになり、潰れ地の有無や最有効使用などの要件は、不問となりました。
もう一つの問題は、地積の大小のみが評価率に影響し土地の間口、奥行、形状等が一切考慮されていないことでした。
新制度では、一般の土地の評価のように奥行評価補正から不整形地補正等の補正後に「規格格差補正率」を乗ずる方式に変更になり、より実態に近い評価額が算出されるものと思われます。
さて、改正により評価額は、どうなるでしょうか?
サンプルデータで試算したところ整形地では、ほとんどのケースで改正後の方が高い評価となりました。
しかし改正により評価額が高くなるばかりではありません。今まで潰れ地が生じず「広大地評価」が適用できなかった土地でも要件を満たせば「地積規模の大きな宅地の評価」が適用できるようになり最低でも20%ダウンになります。これは、大きなメリットです。
「地積規模の大きな宅地の評価」三大都市圏用Excelシートを作成しました。
よろしければお使いください。(自己責任でお願いします)
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「地積規模の大きな宅地の評価」の概要
1.適用要件
下記の@ABの3要件すべてを満たすこと
@ |
地積が500u(三大都市圏以外は1,000u)以上であること。 |
A |
市街化調整区域(都市計画法の宅地分譲に係る開発行為を行うことが出来る区域を除く)に所在しないこと。 |
都市計画法の工業専用地域に所在しないこと。 |
|
容積率が400%(東京都特別区は300%)未満に所在すること |
|
B |
路線価地区が普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区として定められた地域に所在すること。 |
2.評価額の算式
路線価×奥行価格補正率・不整形地補正率など×規格格差補正率×地積
規模格差補正率= A × B + C × 0.8
地積A
三大都市圏に所在する宅地
地積 |
B |
C |
500u以上 1,000u未満 |
0.95 |
25 |
1,000u以上 3,000u未満 |
0.90 |
75 |
3,000u以上 5,000u未満 |
0.85 |
225 |
5,000u以上 |
0.80 |
475 |
三大都市圏以外の地域に所在する宅地
地積 |
B |
C |
1,000u以上 3,000u未満 |
0.90 |
100 |
3,000u以上 5,000u未満 |
0.85 |
250 |
5,000u以上 |
0.80 |
500 |